アブラナ科の種採り実験【無農薬・無肥料・草生栽培で家庭菜園の野菜づくり】

無農薬・無肥料・草生栽培で家庭菜園の野菜づくり

(4月6日公開記事)

こんにちは! わさびなです。

 

春本番、菜の花も満開の季節ですね!

 

今回はそんな菜の花(アブラナ科)の種採りのお話です。

 

小松菜やターサイ、チンゲンサイ、キャベツ、ブロッコリーなどの
アブラナ科は交雑(品種が混ざってしまうこと)しやすいです。

種を採りたければ、
種採りの野菜を隔離したり、
交雑するおそれがある品種の野菜が周囲広範囲にない場所をえらんだりして、
栽培するのが良いといいます。

 

 

私の家庭菜園の周囲には畑も多く、
庭先で野菜を育てている方もたくさんいらっしゃいます。

今の季節は菜の花も周囲にたくさん見かけます。

正直種採りには不向きな場所ですが、
毎年何らかのアブラナ科の種を採っています。

1つだけの野菜と思いながら、
花芽が出てくると花がみたいなあ、種も採りたいなあと、
ええい!と覆いをかぶせて咲かせることも。

たくさんの花が咲く風景は、
見ていて本当に幸せな気分になりますよ。

(写真を記事に載せてみました。
よかったらこちらもぜひご覧くださいね!
4月の畑の野菜・草花~アブラナの花たち【無農薬・無肥料・草生栽培の畑から】

 

 

自分で採取すると交雑はどうしても出てしまいますが、
結果新しい野菜ができているのを見るのも楽しいです。

それもまた家庭菜園ならではの楽しみだと思います。

どうやって種を採るのか、これからお話ししていきます♪

 

種採りのメリットとデメリット

固定種の種をつかっています~固定種の種とは

種採りは「固定種」の種が前提となるので、
はじめに少しお話ししておきます。

 

「固定種」の種とは、親と同じものができる種と私はよく話しているのですが、
より正確に説明できるよう本で調べてみました。

 

正確には、
「固定された形質が親から子へ受け継がれる種のこと」
だそうです。(無肥料自然栽培Handbook 監修nico[ウェブサイト]:16ページ)

 

 

固定種に対して、「交配種(F1)」という種があります。

現在ホームセンターで購入できる多くの種や、現在食卓にならぶ野菜の大半が、
「交配種(F1)」という種からつくられたものです。

「交配種(F1種)」は、大量生産しやすいように人工的に交配させてつくられています。

「F1種で栽培された野菜から種をとった場合は、同じ野菜が育たたなかったり、
親とは違う性質・形になる可能性」
があります。
(以上について参考文献:同Handbook:14ページ)

 

こういった性質から、自家採種は、採種して次の年も同じ野菜をそだてることができる
「固定種」の野菜から種をとることが前提になります。

種や自家採種について以下の記事を書いてみました。
ご興味のある方がいらしたら、こちらもぜひご覧になってみてくださいね♪

エンドウ豆の種採りを繰り返してみた~種採りの効果&
「稲と日本人」(甲斐 信枝:作、佐藤 洋一郎:監修)に学ぶ自家採種の歴史
【無農薬・無肥料・草生栽培で家庭菜園の野菜づくり】

 

種採りのメリット

1.自分の場所にあった野菜をつくっていくことができる
2.おトク♪
3.きれいな花が楽しめる
4.ミツバチなどの生きものに蜜を提供できる

 

1.自分の場所にあった野菜をつくっていくことができる

ブログの中で何度か書いているのですが、
種採りをくりかえすと、その場所や環境に合った強い
植物ができるようになっていきます。
そして、出来具合もよくなります。

野菜のことや畑作業のこと、ほとんど何にも知らないで
家庭菜園をはじめたので、はじめは種採りのことも全然知りませんでした。

偶然に無農薬・無肥料で栽培されている農家の方とお話しする機会があり、
その時に種採りがとても大事だと教えていただきました。

やってみると、確かに種をとったものの方がしっかり育って、
大きくなってくれました。年々進化しているような気がします。

 

ここ数年特に夏は気候が厳しくなっていますが、
種採りした種から育てた野菜の方が、
厳しい気候に耐えているのではないかと感じるようになっています。

 

1回の種とりで劇的に何かが変わるとまではいかないように感じていますが、
時間と手間はかかりながらも、
やったらやっただけのことはあると私は思っています。

 

 

2.おトクについて

自分で種をとるので買う必要がないです!
おトク感あふれます♪

しかも、購入した袋に入っている種よりたくさん種がとれます(*^▽^*)!!

何株か種採りすれば、家庭菜園で使うには十分な量がとれる
(アブラナ科は1株だけでは種採りはできないのですが[自家不和合性:後述]、
量的には1株からでも結構とれます)と思います。

 

 

3.きれいな花が楽しめる

晴れて暖かな日には、青空をバックに黄色い花やダイコンの白い花が咲いて、
そばを通ると菜の花の香り。

虫たちも飛んできたりして、
しばらくぼうっするにはうってつけです。

ひととき、幸せな気分にどっぷりつかることができますよ(*^▽^*)!
(注意していないと時間忘れます)。

 

 

4.ミツバチなど生きものに蜜を提供できる

アブラナ科の花にも、
ミツバチやいろんな羽虫がよく飛んできています。

生きもののご飯になっているんですね。

 

ミツバチが消えるという話をよく耳にするようになりましたが、
ミツバチの健康のためには周囲の植物に多様性が必要だそうです。
さまざまな植物から自分に必要な栄養素をとるのだそうです。

 

虫に授粉してもらって種を残したり、
実をつける野菜や果物などは結構あると思います。
きれいな花を咲かせることで虫たちに栄養をつけてあげられるとは!
嬉しいなあと思います。

 

 

※ミツバチの個体数の減少について、
別に記事(翻訳記事紹介)を書いています。
こちらもご覧いただけたら嬉しいです。

◇ミツバチの個体数の減少はなぜ起こるのか~良心に従ったある科学者の勇気
「合衆国内のミツバチの状況」【翻訳記事紹介】記事こちら

 

デメリット

1.交雑しやすい
2.時間と手間がかかり、場所をとる

 

1.交雑しやすい

先ほども書きましたが、
種を採りたければ、種採りの野菜を隔離したり、
交雑するおそれがある品種の野菜が周囲広範囲に無い場所で栽培するのが良いそうです。

知り合いの農家の方から、
5km圏内にアブラナ科がない方がよいと聞いた時は、
「無理すぎる…」と思ったことが。

 

 

でも、自分や家族が食べる分なので、自分でできる範囲でやってみようと思い、
1シーズンに採種する野菜を限定して種採りしています
(ちょっと無茶してたくさん花咲かせてしまうこともあるんですが。ハイ(^^;)。

交雑するものも出ますが、早めに間引いてしまったり、
それはそれで食べてみたりしています。

 

何はともあれ自分で食べるのだから大丈夫。
それに、交雑して新しい野菜を新発見できるのも楽しいですよー!

 

 

2.時間と手間がかかり、場所をとる
①時間
アブラナの種類にもよりますが、
9月に種をまいて、花がさくのは春先1,2か月の間。
種とりできるようになるのは初夏(5月~6月)くらいでしょうか。

結構時間がかかるんです。

 

②手間
種がさやに入って茶色くなってきたら、茎を刈り取り、
莢がカラカラになるまでつるして乾かして、手で揉むなりして
種を出し、種と莢を分け、種にまじるこまかいカスもとるなど、
結構手間もかかります。

 

③場所
先ほど書いたように、
種まきから採種まで大体9~10か月間畑にいてもらうので、
その間は他のものを栽培できません。

場所が限られる家庭菜園だと、
場所の問題は特になやましいんですよね。

場所とのかねあいで種採りするかどうかを決めてもよいかもしれません。

種ができたまではよかったが、
莢のたくさんついた枯れ茎がベランダにずーっとつる下がったままになっていた、
なんてことも結構あったりします(汗)。

 

 

 

以上デメリットもあるんですが、
手間とは比べられないくらい、
やって良かったと思うことも。

いのちをつなげていく自然本来の営みは時間のかかるもので、
人間の都合のよいスピードでは動かないということを理解できるようになりました。

 

また、はじまりから終わりまで見ることで(種まきから種採りまで)、
食べものが食べられるのは誰かがどこかで手をかけてくれているんだということを、
想像できるようになりました。

食べものに限らず、
さまざまなこと、
どこかでやっぱり人の手が必要なんじゃないか、
それに気がつかないだけなんじゃないか。

そんな風に考えるようになりました。
そして、そう思えるようになってよかったと思っています。

 

参考文献

無肥料自然栽培Handbook(監修nico[ウェブサイト])

 

②「固定種野菜の種と育て方」(著者: 野口勲、 関野幸生、出版:創森社

 

交雑について

先ほども書きましたが、

自家採種だとどうしても交雑するものはでてしまいやすい

ので、種採りをする時は心に留めておくとよいと思います。

アブラナ科の種採りに必要な母本数

自家不和合性~最低でも2本以上は必要

カブを含むアブラナ科は、自分だけでは種ができない性質があります(自家不和合性)。

ですので、最低でも2本以上の株がないと種ができません。

 

理想的な母本数

「固定種野菜の種と育て方」(著者: 野口勲、 関野幸生、出版:創森社)によれば、
理想的には最低でも30株以上の母本で種採りをする必要があるそうです。

少ない数の似た形の母本で種採りを繰り返すと、
自家不和合性が働いてとれる種の数が激減することがあるそうです。

 

 

私の畑ではスペースの点でも、そもそもの栽培本数の点でも、
そこまでの本数はそろえられないので、
例えば今年採種するカブの場合は10数本を残しました。

 

 

種採り方法:隔離やカバー、妥協案

隔離

隔離して栽培するのが一番望ましいようです。

野口種苗さんのホームページにある、
「野菜の種、いまむかし~第一回「カブとナッパの物語」こちら
を読んだところ、

採種農家が住むのは「交雑するおそれのない山間地」で、
生業を育林に頼って来た林業地帯

とありました(日本の採種農家は今大変少なくなっているそうです)。

 

知り合いの農家の方からは、交雑させないためには
「5km圏内にアブラナ科がないこと」と聞いたことも
あります。

アブラナ科は本当に交雑しやすいんですね。

カバーをする

私はやったことがないのですが、
トンネル資材を使ったカバー方法です。

種採りをする野菜の場所にトンネル
(U字型に曲がった支柱をつかって屋根をつくり、そこに
防虫ネットなどをかぶせてトンネルのような空間をつくる
こと)をつくる、

または、

トンネルの中に母本を移す

という方法があります。

 

 

ただ、風が花粉を飛ばしてくるなど、
防虫ネットのトンネルでも100パーセント交雑を防ぐことは難しいようです。

 

 

たくさんの本数を1か所にまとめて植える

これは本で見たのですが、

目ぼしい母本複数本を真ん中に1列に植えて、
その周囲にもぐるりと同じ種類の野菜を植え、
真ん中の母本に他の花粉が混ざるのを
できるだけ防ぐ

というやり方をしていらっしゃる方がいました。

 

いろいろな工夫の仕方がありますね!

 

妥協案として

これは私のケースで、きっちりカバーはできておらず、
簡易、適当でおすすめはできないのですが、
こんなことやっている人もいるということで、
参考までに!

 

 

●採種野菜のまわりに、竹などの支柱で四角い枠をつくり、
防虫ネットとチャックがこわれた洗濯ネットでカバーをつくってかぶせた
(下の部分は土に入れていないので、虫は入ってしまう)

●不織布(100円ショップで購入)を直にかぶせて、
石や支柱で(何とか(^^;)おさえる

(他の野菜も植えていて、
何とかそこには覆いがかぶらないようにしたい、
あまり時間をかけられないが何とか少しでもカバーしたい、
そんな理由からとりあえずかぶせてしまえ!的発想に。)

 

【その後(追記してます)】

その後、花芽が伸びてくると、
不織布が何度かはずれてしまっていたことがありました。

また、不織布をはずした時、
中に入ってしまって出られなくなっていた虫が何匹か、
布にからまって死んでしまっていました。

来年は1種類だけにするなど、
不織布を使わない方法を考えようと思ってます。

莢が熟したら

畑にしばらく置いておくと乾燥して茎・莢が茶色くなります
(福井青カブです)。

 

 

カラカラになったら、
茎をはさみで切って、大き目のビニール袋に入れて
持って帰ります(私の場合は少量なので持ち帰って作業します)。

(一部はカラカラになっても、他の部分はまだ熟していない場合、
根ごと彫り上げて全部が熟すまで逆さまに干しておきます)

 

 

若干湿り気が残っているような場合は、
ビニール袋ごと窓際に少し置いておきます。

それから、ビニール袋の中で莢を採ります。
莢を握るだけで種が出てくる場合もあります。

(上はターサイの種をとった後、下は福井青カブ
~交雑しているにちがいない(^^;)

 

 

莢と種を選別します。
ザルに入れて何度か揺らすと、自然に莢が上、種が下になります。
莢をどけます。

 

 

ビニール袋の中で揺らしても、
莢と種に分けられます(ターサイです)。

 

 

細かい莢が結構残る場合は、
目の粗い金ザルなどでふるいます。
(100円ショップのキッチンコーナーで買える金ザルや、
粉をふるう用の器具も便利です。目の細かさが違うので、
種の大きさによって選びます。)

 

 

福井青カブの種です!
量ってみたら56gでした。

 

ぎっしり入って幸せ感(*^^*)

 

 

☆福井青カブを種採りのために場所を移植した時の記事も
書いていますので、よかったらご覧くださいね♪

●1月の畑~種採り用のカブの移し替え【無農薬・無肥料・草生栽培で家庭菜園の野菜づくり】
記事

 

交雑した例~ラディッシュ大根など

●ラディッシュ大根

数年前にラディッシュと大根が交雑したものができました。
ラディッシュは大根とは交雑しないだろう、なんて思って
いたのですが、ラディッシュはアブラナ科ダイコン属
だったと知りました。

これは交雑して正解!でした。
きれいでサラダにピッタリ。それに交雑種ゆえに
早く大きくなって大助かりでした。

昨年残った種をまいたら、写真のとおり
ラディッシュ大根ができました!

 

●カブ
根っこはカブにならないが、何者かわからない菜っ葉ができた例多数。

 

●ダイコン
三浦大根と青首大根を栽培した時、
青首大根の種採りをしようと思っていたが、
うっかり三浦大根取り忘れて交雑(おいしかった)。

三浦大根と青首大根は、
白い部分の形や、葉の形状が違うのですが、
文字通り交ざったような葉や根の形になりました。

 

まとめ

交雑はしてしまうことがあるかもしれませんが、
アブラナ科の花は本当にきれいですよ!

黄色い菜の花、大根の白や薄紫の花、見ていて飽きません。

きれいな花を眺め、
種の入った莢が少しずつ大きくなって、茶色くなっていくのを見ると、
いのちはこうやってつながれていくんだと、
植物に教えてもらっているような気がします。

 

 

ここまで読んでくれてありがとうー!!

関連記事:
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