自分で自分の健康・命をまもる~読んだら勇気がわいてきた:赤本「家庭に於ける実際的看護の秘訣」(初版大正14年)No.2

こんにちは! わさびなです。

少し前に梅肉エキスの記事を書きましたが、その中で
梅肉エキスの由来となった

「赤本(家庭に於ける実際的看護の秘訣)」(著者:築田多吉 三樹園社

について触れました。

 

とても分厚い本なのですが、梅肉エキスを調べるときに少し
読んでみたところ、著者が生死の現場を歩いた長い経験を
ふまえて渾身の力を降り注いで書かれたであろうことが
伝わってきて、とても興味をもちました。

 

それから、気になった項目を少しずつ読んでいます。
私は医療従事者ではなく、専門的なことはあまりよくわかりませんが
読めば読むほど著者の深い哲学を感じ、何だか勇気が出てきます。

前の記事でも感想を書いているのですが、もう少し書いておきたい
と思いました。

 

自分の健康を自分で守ろうという意識が大切だと気づいた

読みながら、

自分の健康を自分でまもる

ということをあまり意識していなかったことに気づかされました。

 

ここ数年風邪をひくことも大分少なくなったのですが、
以前はかなりよくひいていました。

体調がよくない イコール 病院に行くもの
という意識がかなりあって、よく病院に行っていました。
外で忙しく仕事をしていた時は早く体調を整えたくて、
具合が悪くなったらとにかく薬、という感覚もありました。

 

私の中には、

何か自分の身体は自分のものではないというような感覚、
何かちょっとでも具合がよくなかったら当然病院で治してもらうもの、

というような感覚があったように思います
(こうやって書いていると何だかロボットの話みたいに
思えてきます)。

 

でも、自分でできることって結構あるんだと思いました。

普段から自分の身体を意識しておくことが大事なんだと思いました。

 

もちろん病院に行くことを全く否定しているわけではないのですが、
できることを知って、日々続けていれば本当に必要な時だけに
病院にお世話になればよく、自分も楽になるんだなあと思います。

 

今の時期、そしてこれからの時代、自分で自分の健康をまもっていく
という意識と行動が大切になっていくのではないか。そんな風に
思いました。

 

赤本の特徴:実際のハウツーと精神面の重視

赤本の特徴として、

●手当や予防・健康法などの実際のハウツーがくわしくかかれていること、

●明治期に「医制」が発布され西洋医学が主流になるまで日本で主流だった
「東洋医学」の知識・知恵もふんだんに盛り込んでいること

●人間の心身の力が本来もつ抵抗力を重要視していること

●精神面(心の持ち方)にも手当と同じくらい重きを置いていること

があげられると思います。

※明治7年に「医制」が発布され、西洋医学の採用が正式決定されるまで、
日本の医療は、湯液(和漢の生薬による薬物療法)や鍼灸・按摩(刺激による
物理療法)を併用して行う東洋医学が主流だった。これは数千年の時を経て中国で
体系化された医療で、六世紀に百済人によって日本にもたらされたものである。
~「家で病気を治した時代―昭和の家庭看護 」(百の知恵双書) 148ページ引用
:小泉和子著 農山漁村文化協会2008

 

この赤本を書かれた故築田多吉さんは、元海軍衛生大尉で、35年間
病院に勤務されましたが、ご自身も肺結核や腎臓結核を患い、その
克服に苦労されています。

赤本の中には医療従事者との問答も盛り込まれているのですが、
そこには質問者が著者に対して、年中具合が悪そうなので
長くは生きれないだろうと思っていた、などと言っている部分まで
ありました。

 

赤本では、自分でできる健康法として、マッサージや指圧、皮膚の摩擦、
灸、呼吸法などについて多数ページがさかれ、医療従事者でなくても
わかるように懇切丁寧に書かれています。

理論だけではなく実際のハウツーまでわかりやすく書かれているのは、
ご自身が長く闘病で苦労され、病気で苦しむ人たちの気持ちや苦労が
わかるからなのかもしれません。

私もぜひやって取り入れてみようと思った実際のハウツーをいくつか
書いてみます。

 

健康・命には心が大きな力をもっている

赤本では、精神面についても手当と同じくらい重要視して
実践的方法が具体的に書かれています。

心配したり悩んだりすると、交換神経の働きで血管が収縮し結構が悪く
なり、全身に大きな影響があるそうです。また、血液が酸化して身体の
抵抗力が弱くなるそうです。(とっても理解できます!)

 

書かれている実践的方法は深く、おお!、と何度も唸らせられました。
たとえば、

運命の諦観

「運命の諦観と苦よりの離脱」の項から(この項目名もすごいんですが)、

「平凡なようだが諦観の真髄で人間は最善をして後は明日のことを考えず、
一切を天に任せてこそはじめて苦より離れて安心立命することができる」

とありました。

行き詰まったら

「合掌生活をやること」が推奨されています。

はじめは形だけでもいいから、手を合わせて感謝の気持ちをもつこと
だそうです。

 

十句観音経をとなえる

古武士が「戦場に臨む時」または「果たし合い」に出る前、
この経文を唱え通して働くと、必ず勝利を得るとして白隠禅師
が多くの武士に教えたそうです。

また著者が大地震にあって家の下敷きになった時、このお経をとなえて
助けを呼んで助かったと書いてあります。

 

観世音  かんぜおん
南無仏  なむぶつ

与仏有因  よぶつういん
与仏有縁  よぶつうえん

仏法僧縁  ぶっぽうそうえん
常楽我常  じょうらくがじょう

朝念観世音  ちょうねんかぜおん
暮念観世音  ぼねんかんぜおん

念念従心起  ねんねんじゅうしんき
念念不離心  ねんねんふりしん

 

気海丹田の修養法・呼吸法(体調の良くない人は静呼吸)

このあたりになってくると、もう武道書を読んでいるような
気分になってきます。

気海丹田の修養法

・へその下4、5cmのところにある丹田に力を入れて下腹を
固くして呼吸をととのえる方法

(貝原益軒の養生訓などもみな呼吸を胸でしないで丹田に力を
集中し腹で息をすることが原則になっているそうです)

・何か重大な問題が起こって驚いたり、心配したりした時、
まず下腹に力を入れて呼吸をととのえる

 

深呼吸

心肺機能にとくに問題のない人は、深呼吸で呼吸器の抵抗力を
つよめると病気予防になるそうです。

 

静呼吸

具合が悪いとき、夜眠れない時などに行う呼吸法だそうです。

自然のままに呼吸し、同時に何も考えずに精神をへその下の
丹田におく。軽く複式呼吸する。
とあります。

まとめ

今から何十年も前に書かれた本(初版は大正14年、1600以上の重版
になった)ですが、古いだけで片付けられない、紙面が力をもって
迫ってくるような印象を受けます。

 

著者には戦場で衛生兵として働いた経験があります。
生死を分ける場面に多数立ち合い、またご自身も闘病生活で
生死の境をさまよった経験があるからなのかもしれません。

 

少し前の記事でも、明治19年生まれの故額田晋氏の著書を紹介
させていただきましたが(「自然・生命・人間」
東邦大学のウェブサイトで一般に公開してくださっています)、
本を通じて、先人の方たちが世代をこえた私たちにも確かに知恵を
伝えてくれているのだと感じます。

その知恵を知り、発展させてささやかでも何かできればと
思います。

 

お読みくださってありがとうございました!

関連記事:
●東洋医学(日本の伝統医学)とコロナウィルス(COVID-19):新たな時代にむけた産業・経済のあり方への可能性
記事

●人類を感染症から救ってきた土壌放線菌:世界各地でCOVID-19への臨床治験・研究がすすむイベルメクチン(既存薬:北里大学大村智博士開発)の有用性について(記事)

●何気なく飲んでいた梅肉エキスで驚いたこと~日清戦争や第二次世界大戦の時コレラや疫病などにも使われていた:赤本「家庭に於ける実際的看護の秘訣」(初版大正14年)もよんでみました
記事

●忙しいときだからこそ筆を~自分をリセットして心身を整える・身体感覚をみがく:書道のすすめ
記事

●「いのちの力をつかまえろ」山田和尚著・サンマーク出版
~ 阪神大震災時「神戸元気村」から支援活動に奔走した山田氏のメッセージを今考える
:極限状況はいのちの力を発現させる絶好のチャンス
(記事)