畑で「カラスノビシャク(半夏:ハンゲ)」をみつけました!【薬草:漢方生薬】

伝統医学

こんにちは! わさびなです。

 

少し前に日本の伝統医学(主に漢方)について記事※を書いてから
薬草への興味がますます湧いているのですが、
雨の合間に畑に行ったとき、
見慣れない草を発見。

何とカラスノビシャク(半夏:ハンゲ)でした!

 

 

昔日本では、
カラスノビシャクが畑のあぜ(畑周囲の通路)で栽培されていたと最近知ったばかりでした。

まさかこんな近くに生えているとは思っていなかったので
びっくりです。

 

ミニトマトの近くに生えていました。
とても背が低いので、
この不思議な形の草に今まで気づかなかっただけかもしれません。

今回は、
畑に生えていたこのカラスノビシャクのご紹介です。

※「東洋医学(日本の伝統医学)とコロナウィルス(COVID-19):新たな時代にむけた産業・経済のあり方への可能性」(こちら

 

◎カラスノビシャク続編もよかったらお読みくださいね(*^^*)(記事

カラスノビシャクについて

サトイモ科の植物。
半夏(ハンゲ)、スズメノヒシャク、シャクシソウなどともいうそうです。

先ほども書きましたが、
かつて日本ではカラスノビシャクは、
畔(あぜ:田んぼや畑のまわりの通路のこと)で栽培されていたことがあるそうです。

 

 

畑に生えていたのはこんな感じです。
長細くて、ほそいヒゲのようなものが上にびよんと伸びています。
(全部緑でちょっと見ずらいです(;^_^)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後ろ姿は何だかへびのようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

葉は先が三つにわかれています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

分岐のところに不思議な突起があります。
何だろう??

 

 

カラスノビシャクの効用

効用など

漢方の生薬として、
他の生薬とまぜて服用されることが多いそうなのですが、
民間薬としても以下のような使われ方があるそうです。

「漢方と民間薬百科」大塚敬節著 主婦の友社出版(1966)
(154~155頁)から一部要約(または引用)します。

 

【薬用部位】
球根

【使用例】

●嘔吐 つわり
(刻んだ球根に、皮のまま刻んだ根ショウガを加えて
水に入れて半分に煮詰め、かすを濾してから一口ずつ飲む)

●くつずれや足のまめ
球根をすりつぶして、米粒でねってはる

●毛生え薬
(粉末を毛のぬけたところにすりこむ)

●のどのはれ
扁桃がはれて痛む時に、
足の裏の土ふまずに球根を粉末にして米粒でねったものを
すりつけると不思議にのどのはれがとれる

 

【使われている漢方薬】

ドラッグストアでもよく見かける、

●柴胡桂枝湯
●小青竜湯
●麦門冬湯

などにも他の生薬とあわせて使われているそうです。

漢方とは

少し前にブログの記事を書くまで、
漢方は中国の医学かな?と思っていた私です。

古代中国の医学が日本で独自に発達した、
日本の伝統医学だと知って驚きでした。

 

自然科学が発達する前の医学なので、
科学的な診断方法などはないそうですが、
以下の特徴があるそうです。

文献から一部引用します。

 

 

大塚敬節著「漢方と民間薬百科」(329~330頁)

漢方の診断は、治療法の診断である。
この病人(抽象的な病名ではなく、病気に悩んでいる個人である)
は、どうすればなおるかを診断する。

漢方の診断の相手は、病気一般ではなく、
現に病気に苦しんでいる、個々の病人である。
ところで、個々の病人は、それぞれの体質も、素因も、
生活環境も違っている。だから、同じ病気で、
病名が同じであっても、治療法は必ずしも同じではない。
漢方では個人差を非常に重くみる。
そのため、病気をなおすのではなく、
病人をなおすという立場を忘れない。

 

 

また、漢方のテキストのひとつには、
なんと約2000年前(!)に書かれた「傷寒論」という本があるそうです。

「傷寒論」について中外医学社のウェブサイトに説明がありましたので、
一部引用させていただきます。

 

「『傷寒論』という漢方の古典の原型は約 1800 年前に成立していて,
当時の重症の流行性感染症に対する診療の方法を説いたマニュアルのような本ですが,
この中にはなんと敗血症性ショックと思われる病態に対する治療法まで
述べられています.」⇒)

 

漢方生薬の栽培について

日本では生産が非常に減っていて(現在自給率12%)、
自治体ぐるみでの栽培体制が望まれているそうです。

 

漢方の生薬は、

●生薬以外の需要がほとんどなく市場がない
(栽培しても売れるかわからないので自治体で取り組むことが必要といわれる)

●公的保険でカバーされる漢方薬として扱われる場合でも、
薬価が引き下げられて栽培しても採算がとれない

●日本薬局方などの規格・成分の基準がきびしい

などのこともあって生産者が非常に減っているようです。

一方で、
2019年にはWHOの国際疾病分類に東アジア伝統医学(中国・韓国・日本)が登録されるなど、
世界的には伝統医学を見直す気運が高まっており、
漢方生薬の需要も高まりを見せているとか。

 

今経済も大きく揺れていますが、
漢方生薬の栽培を生産者の方々が潤うように、
環境にも良い方法で行えたら、
人の健康に役立つ、これからの時代に可能性のある産業になるのでは、
と私は思っています。

 

まとめ

インターネットなどで少し調べてみたら、
かなり強い草のようです。
地方によってはヒャクショウナカセと呼ばれていたとか。

取っても取っても取りきれない、
困る草だったんですね。

確かに、
雨が続く今の天候でも元気いっぱいな感じで生えていました。

 

規格や成分がどうなるかはわかりませんが、
畑にずっと生えていたように思えることから、
栽培自体はほとんど手がかからない容易な草に見えます。

加工はとても手間がかかりそうですが、
栽培自体はコンパニオンプランツ的にできるのかもしれません。

 

すっかり漢方に興味が湧いて、
生薬の自給率も高まるといいなあと思っています。

 

不思議な形のカラスノビシャク、
何だか掘るのがもったいないのですが、
今度掘ってみようかな。

草はお宝。
そんな風に思えました。

 

読んでくれてありがとうー!

 

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