草の根に白っぽいものやキノコ~お助け菌かも!土の中の壮大なネットワークから菌に教わる人生哲学まで【秋の家庭菜園】

微生物・菌

こんにちは! わさびなです。

 

少し前のこと。
ようやく暑さがひと段落して雨も降った後のことでした。

畑で種まきのために草を刈っていたら、
草の根に白いものが。

畝の間の深めの溝には、
小さなキノコが生えている、
枯れ枝が見つかりました。

 

 

こんな風景を見ると嬉しくなる私です。

きのこが生える場所は野菜がよく育つと、
何かで読んだか、聞いたかしたことがあります。

 

これはきっと畑に繁栄をもたらしてくれる「菌」にちがいない!!
イェーイ!と思うんですが、
思えばきのこや菌についてよく知らないなあ。

 

そこで「菌」についてちょっと調べてみました。

よかったらぜひお付き合いくださいね♪

 

初秋によくみかけるキノコなど

秋の入り口、
暑さがひと段落して秋雨が降るころに、
畑でキノコをみかけることはよくあります。

(でも昨年は見た記憶がありません。
なかなか涼しくならなかったせいなのか、
私が見落としていたせいなのか。
目につかなかっただけでどこかにいたのかな?)

 

 

たとえば畝と畝の間のみぞなど、
水分があるところでよく見かけます。

 

この間見つけた小さなきのこ。
この枯れ枝は、畝間の溝でひろいました。
(きのこはすでに形が崩れてしまっていました)

 

 

これは木の枝についていたキノコ。

 

 

昨年はとても大きいキノコを見つけましたよ。
恐竜の卵?みたいでした。
(一昨年(その前の年だったかな?)にも生えていました。
オニフスベというきのこのようです)。

 

 

 

 

少し前にたくさん出てきたのはこれです。
草の根に白っぽいものがついています。

 

 

作業に割ける時間も限られているのでせっせと抜くのですが、
たくさん見かけて、つい注意がそれてしまいそうでした。

今年の春口は、
キクイモ周辺を掘っていた時に土の中からも、
この白っぽいものがたくさん見つかりました。
いもを掘るために土にスコップを入れてみると白いものが!!

 

カマンベールチーズの皮のようなもの。
土の中に広くひろがっていて、
これほど多く見た記憶はこれまでありません。
(ちなみにキクイモはよくできていました)。

 

 

 

草の根についている白っぽいものは、
キクイモを掘った時に見たものと、
とてもよく似ていました。

菌ネットワークが広がっているんでしょうか!!!
ひとりで大興奮です(*^▽^*)

 

 

菌といっても、
菌根菌、放線菌、細菌と種類があるようです。
むずかしそう…。

根についているわけですし、
根につく菌、
とりあえず「菌根菌」をメインに焦点をあててみたいと思います。

 

 

きのこって何? 菌糸体も子孫繁栄の季節

思えば「きのこ」って何??

正確に説明できない…

ということで、
ちょっと調べてみました♪

 

きのこは菌糸体の一形態

 

「きのこは菌類」

「その本体は糸のような菌糸が集まった”菌糸体”」

「菌糸体はふだんは地中や枯れ木の中に潜んでいる」

(引用:「きのこブック」伊沢正名:写真、平凡社1998:5、23、26頁)

なのだそう。

 

 

体(菌糸)に刺激があたえられると「きのこ」の形となって
姿をあわらすのだそうですよ!

具体的には以下のように書いてありました。

「体である菌糸の集団に一定の刺激(急激な温度変化、栄養分の欠乏など)が与えられると、
集団の一部で菌糸が集合組織化し、
生殖器官である子実体がつくられる。
この子実体が一般に「きのこ」と呼んでいるもの」

(引用:同書120~121頁:「きのこの暮らし方」長沢栄史)

 

目に見える「きのこ」は、
生きものとしてのきのこの一部にすぎないそうです。

 

たしかに秋は朝晩かなり温度変化が激しいからなあ。
きのこ出現条件がそろうのかもしれませんね。

 

 

きのこ(菌糸体)の栄養

このきのこ、
自分では栄養がつくれいないため、
他の生きものがつくった有機物を栄養にしているそうですよ。

他の生きものの栄養の利用の仕方には、
大きく分けて①腐生、②菌根共生、③活物寄生という、
3つの種類があるそうです。

 

①腐生
枯れた植物や死んだ動物の体を分解して栄養にすること

 

②菌根共生 
二種の生物間でおたがいに栄養のやりとりをすること。

最も一般的なのは樹木との共生で、
樹木の根に菌糸をからませて外生菌根という特殊な構造をつくり、
その菌根から養分のやりとりをするものを「菌根菌」というそうです。

具体的には、
水やリン・カリなどの無機養分を樹木に供給する代わりに、
光合成でつくられた有機養分を樹から提供してもらうのだそうです。

 

③活物寄生 
生きた動植物から栄養をとること。
これも何だかすごいなあ…。

(参考:同書120~121頁:「きのこの暮らし方」長沢栄史)

 

 

先ほどの写真、

は②の菌根共生のきのこでは?と思う一方、

 


こちらは切られた枝、


これは枯れ枝、

なので①腐生のきのこかな?と思いました。

 

 

菌根菌の役割~植物の成長促進・免疫UP・団粒構造発達

この菌根菌、
栄養分のやりとりだけではない、
すごい働きがあるのだとか。

 

①植物の栄養摂取を助ける

②植物ホルモンの分泌をうながして生長を促進

③乾燥や有害な微生物から根を保護

④土の団粒構造の発達に役立つ

(参考:
①~③ 「きのこブック」120~121頁:「きのこの暮らし方」長沢栄史
④「持続的生産を可能にする土づくり」(3)ウ(農林水産省ウェブサイト

 

 

まさにお助け菌です!

「何じゃこの白いものわぁぁ!!」なんて言ってはいけなさそうな気がしてきました。
むしろ、おもてなしが必要なのかも!?
(どんな風におもてなしをすれば良いのかわかりませんが(;^_^)

 

 

 

地下の情報を伝えるきのこ

先ほど引用文献でご紹介した「きのこブック」の本に、
とても興味を惹かれたエピソードが載っていました。

 

 

この本の写真家の方が研究者の方と山に行かれた時、
あるきのこを1本見つけました。

すると研究者の方が、
ここにはかならずマツがあるはずだとおっしゃったそうです。

でも周囲にマツはありません。

しばらくよく探してみると、
100メートル以上先にアカマツが1本!!

 

マツと共生関係にあるキノコだったのだそうです。

「きのこを見れば、周囲にある樹がわかってしまう。
木の根がどういうふうに伸びているかもわかる。」

(「きのこブック」19頁から引用:「地下世界の情報を伝える」伊沢正名)

 

 

きのこの生態を知ることで、
目に見えない地下の世界の様子がわかるそうです。

100メートル以上も根が伸びているのか、
菌と根のネットワークがつながっているのか、
想像以上の世界が広がっているようです。

 

菌根共生のきのこではなく、
枯れ木や落ち葉などを栄養にする腐生のきのこにも、
きちんとしたメカニズムがあるそうですよ。

 

 

深すぎる…。
目に見えないところで壮大なネットワークができているんですね!

 

「きのこブック」伊沢正名:写真、平凡社~参考文献

今回参考にさせていただいたのは以下の本です。

いろいろなきのこの写真が満載。
何だか怖いけれど引きつけられる、
毒キノコの写真も。

きのこにゆかりのある方々も記事を寄せられています。

きのこの世界は本当に奥深くて、
自然は驚くほど多様で精緻で不思議な世界をつくりだしているのだと
実感できました。

「きのこブック」
伊沢正名:写真
平凡社1998

 

 

 

この本の写真家の伊沢正名さん。
今は糞土研究会を主宰していらっしゃるそうです

一瞬びっくりしたのですが、
人間中心の自然観からの脱却を心から願う気持ちがつたわってきました。

「きのこブック」にも、
元は自然環境保護運動をしていた伊沢さんが、
自然の循環のありさま・自然界のありかたを見せてくれた、
キノコとの出会いが写真家を目指すきかっけとなったことが書かれていました。

問題の解決を生きる生き方が、
必要とされている時代なのですよね。

問題をみつけたら、
どんな小さなことでも解決案を自分が生きてみる。

伊沢さんの姿にそんなことを考えました。

 

まとめ~深い「菌」ワールド

調べていて思いました。

菌根共生きのこ、
人生哲学語れるね、と。

 

 

他の生きものと栄養分のやりとり。
カラスノエンドウの根粒菌の記事()でも書きましたが、
自然界のギブアンドテイクがここにも。

しかも栄養分だけじゃない。
相手の免疫を高めて、生存環境を整える。

まさに相手を活かして自分も生きる「菌根きのこスタイル」。

 

 

植物病原菌は植物の細胞膜をこわしてしまうそうですが、
菌根共生はたがいに入り組んでいながらも、
菌は植物の細胞膜をこわさず、
膜をへだててたがいに接触を保っているのだそうです。

深く関わり合いながらも、
たがいを傷つけない。
まさに「間合い」の極意をつかんだ「菌根きのこスタイル」。

 

 

 

100メートル以上も離れた木ときのこでも、
見えないところでネットワークを張っている。

「遠くに離れていてもつながれるじゃん!」を実証する、
「菌根きのこスタイル」。

 

人生で困ったときは菌根きのこを探して相談に行きたいと思います(笑)。
いや~、きのこ調べてみてよかった。

 

 

読んでくださってありがとうー!!

 

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