無農薬無肥料・不耕起・草生栽培で家庭菜園をするのに参考にしている本【超初心者からスタートした無農薬無肥料・不耕起・草生栽培で家庭菜園体験記2】

超初心者からスタートした家庭菜園体験談

こんにちは! わさびなです。

無農薬無肥料・不耕起・草生栽培の家庭菜園:はじめに育てたもの・必要だったもの・ウネ立てなど~私はこうやってはじめました♪【超初心者からスタートした体験記】
(記事)

に引き続いて、私が参考にしている本をご紹介したいと思います。

以下の①は、はじめる時から読んでいる本です。

②は、苗を自作しようと思ったとき(3、4年後でしょうか)から読み始めました。

③以降は、家庭菜園をはじめてある程度たってから読み、自分が勉強になったと思う本です。

私は元は都会出身で以前には畑に入ったことすらなく、
鎌の使い方もわからない、
野菜づくりについて何も知らない状態でした。

お話しを伺える農家の方とも知り合うことができたのですが、
特に家庭菜園をはじめた頃は子供が小さく畑に行くだけでもやっとのことで、
人に会いに出かけるのも一苦労していました。

そのような具合だったので、
本には本当に助けられ、
今でも助けられています。

この記事が何かの参考になればうれしいです!

ここでご紹介する本

①「自然農・栽培の手引き いのちの営み、田畑の営み」
著者:鏡山悦子、監修:川口由一、出版:南方新社

②「固定種野菜の種と育て方」
著者: 野口勲、 関野幸生、出版:創森社

③「家庭菜園でできる自然農法 無農薬、無除草、不耕起で野菜づくり 」
編集:野菜だより編集部、出版:学研プラス

④「雑草を活かす!手間なしぐうたら農法」
著者 西村 和雄、出版:学研パブリッシング
(現在改訂版が出ているそうです)

⑤「自然農法 わら一本の革命 〈新版〉」
著者 福岡正信、出版:春秋社

⑥「農作業の絵本(2) タネまき・育苗・植えつけ」
編:川城英夫、絵:陣崎草子、出版:農文協

⑦「木村秋則と自然栽培の世界 無肥料・無農薬でここまでできる
責任編集:木村秋則 発行:日本経済出版社

私はほとんどの野菜について、
種を採りながら育てているので、
最後に種についても書いています。
興味のある方はご覧いただけたらと思います。

①「自然農・栽培の手引き いのちの営み、田畑の営み」について

著者:鏡山悦子、監修:川口由一、出版:南方新社

◆本の内容
・開墾作業、ウネ立て、稲・麦作、雑穀、果樹、40種以上の野菜栽培、自然農全般の説明(不耕起、草・虫を敵としない、無農薬無肥料)、輪作と連作障害、食害などについて、網羅的に書かれています。

・野菜栽培については、40種類以上の野菜それぞれについて原産地、性質、栽培の仕方、種採りなど詳しく書かれています。

・わかりやすいイラストをまじえて白黒で書かれており、巻頭には自然農の栽培風景の写真が掲載されています。巻末には川口さんのお住まいの地域での種まき時期の表がついています。

◆特にはじめの頃しばらくはよく読み、畑に持っていくこともありました。
自然農に興味のある方、無農薬無肥料栽培に興味のある方、草を生やしながらの栽培に興味のある方におすすめです。
また、稲・麦、雑穀、果樹栽培についてまで幅広く書かれているので、幅広く栽培したい方にもおすすめです。

作物の栽培だけでなく、自然農的な世界観がつたわってくる一冊です。人生哲学も学べる本です。

②「固定種野菜の種と育て方」


著者: 野口勲, 関野幸生、出版:創森社

◆本の内容
・本のはじめの方で、固定種とは何か、F1種とは何かについて、野口種苗の野口勲さんが執筆されています。

・無農薬無肥料の考え方・取り組み方、おいしい野菜の固定種とつくり方のコツ(種採りまで)については、無農薬無肥料(草は生やさない)で農業を営まれている関野幸生さんが執筆。もとは慣行農業をされていた関野さんが無農薬無肥料をはじめた経緯についても書かれています。

◆自分の地域では夏野菜の直播きはあわない(秋にならないと収穫ができない)とわかり、苗を自作しようと思ったとき(3、4年後でしょうか)から読み始めました。

種採りの意味、無農薬無肥料をするとどうなるかの実際の状態に即した説明が書かれており、勉強になるとともに自然というのは本当によくできていると思わされました。とても面白いです。摘芯や、摘花・摘果の考え方、育苗の方法はとても参考になり、どうすればよいのかが良く分かりました。

苗の自作、種のことについて知りたい方、無農薬無肥料での農業に関心のある方におすすめです。

③「家庭菜園でできる自然農法 無農薬、無除草、不耕起で野菜づくり 」

編集:野菜だより編集部、出版:学研プラス

◆本の内容
・人間がなるべく余計なことをしないで栽培する自然農法について、さまざまな種類(自然農法、天然農法、炭素循環農法、自然農、自然栽培、バイオダイナミック農法)があることに触れながら説明されています。

・野菜栽培については、自然農の川口由一さんの野菜づくり(10何種類)が写真をまじえて紹介されています。ウネ立て、タネおろしからタネとりまで説明されています。
・草との付き合い方、草マルチ・草堆肥、緑肥の活用・コンパニオンプランツ、温床づくりなども紹介。

・そろえたい道具や、道具の使い方も写真入りで解説。

◆自然農法にはいろんなやり方があるのだということがわかって興味深かったです。
個人的には、川口由一さんの道具の使い方の説明に人生哲学が感じられて深い…と思いました。

野菜づくり栽培についてわかりやすく網羅的に書かれています。
固定種・F1種については、F1種をつくる科学技術も変化しており、他の本などで補う必要があると思いますが、スタートする時にわかりやすい一冊だ思いました。

【種・自家採種について】
私自身は種のこともよく知らなかったのですが、
固定種をそだてて種採りしてみて、
その進化していく様子がおもしろい!!と思って、
以来種をとるのが趣味のようになっています。

自家採種について別に記事を書きました(この記事の最後にも種について書いています)。
自家採種にご興味のある方がいらしたらぜひこちらもご覧いただけたら嬉しいです。

こちらの記事で触れた、「稲と日本人」も素晴らしい本です。
ぜひおすすめしたい本です。

●エンドウ豆の種採りを繰り返してみた~種採りの効果&「稲と日本人」
(甲斐 信枝:作、佐藤 洋一郎:監修)に学ぶ自家採種の歴史
【無農薬・無肥料・草生栽培で家庭菜園の野菜づくり】
(記事)

 

④「雑草を活かす!手間なしぐうたら農法」


著者 西村 和雄、出版:学研パブリッシング
その後改訂版が出ているそうです

◆本の内容
・無農薬・草生栽培についてわかりやすく書かれています(肥料は手作りのボカシ肥料を使用されています)。土の構造、草を活かした土づくり、マメ科とイネ科(緑肥)の活用、草の管理、ウネ立て、ボカシ肥料のつくり方(畑の土をつかう)、20数種類の野菜栽培方法などについて説明されています。

◆無肥料ではありませんが、畑の土をつかったボカシ作りであまり量も使わず、シンプルに手軽にできてよさそうだなあと思いました。

特に種からの夏野菜づくりでは、はじめの数年は本当に収穫量もすくなくてなかなか家族に食べさせられるものがとれないなあと思っていました。無農薬無肥料が目標だとしても、はじめのうちは自分で安心できる材料でボカシ作りをする栽培も併用した方が、収穫を得ながら続けられていいのかもしれないとも思います。

緑肥のつかい方、草の管理の仕方もとても勉強になります。摘芯については、無肥料で栽培したい方はまた別の考慮が必要なので(無肥料の場合は基本的には摘芯はあまりしない)、その点をふまえながら読むとよいと思います。

⑤「自然農法 わら一本の革命 〈新版〉」


著者 福岡正信、出版:春秋社

◆本の内容
・故福岡正信氏の著書。福岡さんは米麦連続不耕起直播栽培で米と麦を栽培され、慣行農家に匹敵する・あるいはそれを凌ぐ収穫量を上げていらっしゃいました。かんきつ類も生業として栽培されていました。

・福岡さんの自然農法の栽培方法からご自身の生い立ち、食や環境問題への考え、哲学などまでつづられています。全編にわたってほぼ文章です(写真は少ない)。

・栽培については、無農薬・無肥料・不耕起・無除草の4原則、それを実行するためのわらふりや、緑肥(ホワイトクローバーと麦)の活用などを解説されています。

◆イラストや写真・図などはほとんどないのですが、その内容が、栽培のみならず生きる姿勢が本当にすごい(こんなありきたりな表現をしたくありませんが)。自分の信念を貫き通した勇気と忍耐力と強さに敬服します。

緑肥についてもとても勉強になりました。
畑をしているといっても、ただただいたずらに年数が過ぎてしまって緑肥のことも勉強するにいたりませんでしたが、草は草で制する方法をこれからもっと実践しようと思いました。

農に興味のある方だけでなく、人生を真剣に考える人におすすめです。

⑥「農作業の絵本(2) タネまき・育苗・植えつけ」


編:川城英夫、絵:陣崎草子、出版:農文協

◆本の内容
・タネまき・育苗・植えつけについて、その技術が網羅的にイラストをまじえてわかりやすく書かれています。子供も読めるように絵本タイプになっています。

・資材のつかい方(マルチや不織布、トンネル、支柱、ひもなど)もわかりやすいです。

◆ひもの結び方、支柱を立てたりして何度も何度も繰り返すので、これ実はかなり重要だと感じます。資材の使い方が網羅されているのでお役立ちです。

タネのまきかた、間引きをどうするのか、どのような資材を使うのかは、自然農法をやろうと思うとそれぞれに判断・選択の違いが出てくると思いますが、一般的な情報がわかりやすく掲載されていますよ。

⑦「木村秋則と自然栽培の世界 無肥料・無農薬でここまでできる」

「木村秋則と自然栽培の世界 無肥料・無農薬でここまでできる
責任編集:木村秋則 発行:日本経済出版社

◆本の内容
・自然栽培の提唱・実践者である木村秋紀さんはじめ、木村興農社の研究員、大学教授、種苗業、農業、酪農、レストラン、流通、菓子製品、飼・肥料製造などの業に携わる方々が登場し、木村さんとの対談や自然栽培の観点から各々の事業についてお話しされています。

・各々の栽培について具体的な取り組みから、科学的視点からの自然栽培、流通・販売・レストラン・加工業などからみた自然栽培の野菜、肥料と硝酸態窒素の問題など、幅広い視点にたって編集されています。

自然栽培を実際に社会に浸透させていくにはどのようにしたらよいのかというヒントを得られる一冊だと思います。

・自然栽培にとどまらず、社会・地球環境的に意義のある農業が浸透していくための視点が得られるのではないかと思いました。木村さんの思いに共鳴した人たちが集まり、広まっていくという人間ドラマも見えます。

◆私は家庭菜園をしているだけですが、実際に農業で実践されている方々のお話や、科学的見地にたった無肥料栽培の分析、種、肥料について、無農薬無肥料が軌道にのるまでどのくらいの時間がかかるのか、など家庭菜園にも役立つ情報が多いと思いました。

・木村さんが対談の中で言われた、

「農家の人は農業で生活をしていかなければならない。なおかつ永続性がなければならない」

という言葉が印象に残りました。

自分・社会・地球に意義のあることで生計をたてる、
これからの社会の重要なテーマのひとつにつながるような気がします。

種について

固定種について

長く栽培を続けるつもりであれば、
種を自分で繰り返し採ることを検討されても良いかもしれません。

自家採種をする場合は、
親と同じ形質の子ができる固定種の種を使います。

(植物はその土地や環境を記憶し、種にその情報を伝えます。
種をくり返し採種することで、
その情報を受けとった植物は情報を活かして土地に適応していくようです。
自家採種を繰り返すことで、よく育ち、収穫も安定してくると言われます)。

ここ数年、とくに夏の気候がきびしくなってきていますが、
自家採種を繰り返したきゅうりが頑張っている姿を見て、
自家採種は大きな希望になるかもしれない、
と思いました。

長く栽培を続ける計画があるのなら、
早いうちに種について学んでおかれると良いかもしれません。

私は②の本を読んで、種の理解が深まりました。
おすすめです!
②「固定種野菜の種と育て方」
著者: 野口勲、 関野幸生、出版:創森社

種採りについて記事を書いてみました。
こちらもよかったらぜひご覧になってみてくださいね。

●エンドウ豆の種採りを繰り返してみた~種採りの効果&「稲と日本人」
(甲斐 信枝:作、佐藤 洋一郎:監修)に学ぶ自家採種の歴史
【無農薬・無肥料・草生栽培で家庭菜園の野菜づくり】(記事)

交配種について

私にはご紹介できるような交配種栽培の経験談はないのですが、
以下に交配種の理解に参考になりそうなページをご紹介してみます。

【交配種をつくる技術】

①除雄
(人の手で雄しべをとりのぞく)

②自家不和合性
(アブラナ科の自分(1つの株)だけでは種をつくれない性質をもちいた技術)

③雄性不稔
(雄性不稔とは:細胞質のゲノム、
特にミトコンドリアゲノムの変異による異常遺伝子(CMS遺伝子)の発現により、
雄性配偶子(花粉)が正常に機能しなくなる形質。

引用:「研究内容3. 細胞質雄性不稔に関する研究」
九州大学 大学院農学研究院 ゲノム化学工学研究室ウェブサイト

雄性不稔技術には遺伝子組み換え技術が用いられているようです。
また現在どこまで交配種の製造が実現できているのかわからないのですが、
ゲノム編集技術によりこの性質を利用した種がつくられる研究が進んでいます。

ゲノム編集について
ゲノム(全遺伝情報)の特定の情報を書き換える技術。
狙った部分の遺伝子を働かなくしたり、加えたりすることで、
生物の特徴をピンポイントで変えられる。
他の遺伝子を入れ込む従来の遺伝子組み換えと比べて簡単に操作ができる。
コトバンクから引用「朝日新聞掲載キーワード」から

【交配種づくりの歴史】
野口種苗さんのホームページに交配種づくりの歴史が書かれていました.

①「除雄」という雄しべを人為的に除去する方法からスタート

②「自家不和合性」という近親婚を嫌がる性質を利用する技術に発展

③現在は
「雄性不稔」という方法が無くてはならない技術になっている

と書かれていました。
現在の主流は雄性不稔技術のようです
(この項末尾に野口種苗さんの記事にリンクを張りました)。

【参考】

●「花粉を作らない雄性不稔のメカニズム—核とミトコンドリアの不思議な共生—」
京都産業大学ホームページ

●「農水産物のゲノム編集技術の今・未来」J-stageホームページ

●「世界初の植物ミトコンドリアのゲノム編集に成功
〜F1育種において重要な細胞質雄性不稔性の原因遺伝子を特定〜」
東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部ホームページ

固定種の種苗店野口種苗さんのホームページ記事:
●固定種を守る取り組みを広げるために/野口 勲(東京保険医協会『診療研究』509号)
ウェブページ⇒

野口勲「一粒のタネからのメッセージ」掲載誌「ザ・フナイ」2009新年号
ウェブページ⇒

交配種(F1)と固定種の作り方【4】
最後に種苗メーカーにお勤めで育種を担当されている方からのコメントも紹介されています。)
ウェブページ⇒

交配種をつくる技術の進み方には賛否両論があるようです。

種の技術開発の裏には、
自然と人間をどのように考えるのかという自然観の違いがあると私は思っています。

自然界と人間を切り離し、
自然界にあるものはすべて人間の用に供するものと考えるのか。

人間も自然の一部としてとらえ、
自然界には人間にはわからない精巧さ、バランスが存在していると考えるのか。

意識するかしないかにかかわらず、
その立ち位置の違いが大きくかかわっていると私は思っています。

私自身は自家採種が楽しくなってきて、
固定種を野菜を育てています。

交配種の種や苗の栽培は近隣でもよく見かけて、
生長スピードが速かったり、
収穫量も多くてすごいなあと思っています。

固定種は生長スピードがゆっくり、
特に夏野菜は収穫できるようになるまでに時間がかかったり
(無肥料なのでなおさらなのかもしれません)、
交配種も魅力的に映ります。

ただ、交配種について調べてみて、
現在主流といわれる雄性不稔の技術について自分の理解がおよばないことが多いこともあり、
今のところは使っていません。

私の場合は家庭菜園、
また家族の健康上の理由ではじめた家庭菜園でもあって、
できるだけ今の自分でわかる範囲のことをやりたいなと思って、
試行錯誤しながら固定種を育てているところです。

まとめ

以上、ご紹介してみました!

私は農家の出身でもなく、
以前は自分が野菜をつくるなど考えもしたことがないような生活をしていました。

農家の方々や家庭菜園をおやりになっている方々からも
いろいろと教えていただく機会に恵まれたと共に、
本にも本当に助けてもらってきました(そして今も助けてもらっています!)。

最初は①の自然農の栽培の手引きを読んでいましたが、
苗を自作したり、家庭菜園をつづけるにつれて調べたいことが出てきたりして、
他の本も読むようになりました。

まずはひとつかふたつ、
自分のめざす方向の栽培について網羅的に書かれている本を読み、
栽培しながらまた新たな本に出会っていくのも一つの方法だと思います。

何か一つでも参考になることがあればうれしいです。

ここまで読んでくれてありがとうー!

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