日本はなぜ『基地』と『原発』を止められないのか」
矢部宏治著、集英社インターナショナル2014⇒
何年か前に購入したこの本。
ふと手にとりました。
この本には、
普段報道されることのない、
日本の構造的な問題とその歴史的経緯が書かれています。
生死にかかわることなのに、
なぜこのように扱われるのか。
人の生命を左右する、
重大な人権に関わる数々の問題が生まれては、
決して解決されることなく積み重ねられていく。
それはなぜなのか。
きわめて個人主義的で、
選挙にもほとんど行ったことがなかったという著者。
重大な問題を何も知らないことに気づき、
本をつくることになったといいます。
この本の「はじめに」を読んで、
著者の思いが改めて心に響きました。
事実の深い検証、
事実を知った先で何をするべきなのかについては、
今後広く、粘り強く、
行わなければならないことだと思います。
ただ、今この時期、このブログをご覧くださる方々に、
「大きな旅」に対する著者の思いをお伝えしたいと思いました。
以下に一部を引用させていただきます。
「…このシリーズがスタートして少したったころ、
読者からメールでこんなメッセージをいただきました。
3.11以降、日本人は『大きな謎』を解くための旅をしている。
本当にそうだと思います。2011年3月、福島原発事故が起きてから、
私たち日本人は日々、信じれられない光景を眼にしつづけているからです。
なぜ、これほど巨大な事故が日本で起こってしまったのか。
なぜ、事故の責任者は誰も罪に問われず、被害者は正当な補償を受けられないのか。
なぜ、東大教授や大手マスコミは、これまで『原発は絶対安全だ』と言いつづけてきたのか。
なぜ、事故の結果、ドイツやイタリアでは原発廃止が決まったのに、当事国である日本
では再稼働が始まろうとしているのか。
そしてなぜ、福島の子どもたちを中心にあきらかな健康被害が起きているのに、政府や
医療関係者たちはそれを無視しつづけているのか。
だれもがおかしいと思いながら、大きな流れをどうしても止められない。
解決へ向かう道にどう踏み出していいかわからない。
そんな状況がいまもつづいています。
本書はそうしたさまざまな謎を解くカギを、敗戦直後までさかのぼる日本の戦後史のなかに
求めようとする試みです。
…しかしその一方、明るく、勇気づけられるような出来事に、日々遭遇することも多いのです。
それは日本のいろいろな場所で、いろいろな人たちが、この『大きな謎』を解くための旅を
スタートさせているからです。
…そういう人たちは、日本全国に、いろいろな分野にいます。点在していますから
目立ちませんが、決して数は少なくありません。
いま、私たち日本人が直面している問題は、あまりにも巨大で、その背後にひそむ闇も
かぎりなく深い。
…うまく目的地にたどりつけるかどうかは、正直わからない。ただ自分たちは、
それぞれの持ち場で最善をつくす義務がある。そして崩壊しはじめた『戦後日本』という巨大な
社会を、少しでも争いや流血なく、次の時代に移行させていく義務がある。おそらくそれが、
『大きな謎』を解くための旅をしている人たちの、共通した認識だと思います。
私もまた、そういう思いでこの本を書きました。
本書がみなさんにとって、そうした旅に出るきっかけとなってくれることを、
心から願っています。」
以上、「日本はなぜ『基地』と『原発』を止められないのか」
矢部宏治著、集英社インターナショナル2014、1~4ページから引用
出版社ウェブサイト ⇒
旅先で多くの良き出会いがあることを祈って。
お読みくださりありがとうございました。
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